宇宙世紀の小説書いてみてるんだけど

1通常の名無しさんの3倍2019/07/24(水) 00:50:40.43ID:XfFrIQoe0
小説書いたこともなければスレッド建てるのも初めてなんだけど、もし誰か見てるなら投稿してみる

552通常の名無しさんの3倍2019/10/18(金) 11:17:33.82ID:2yObOCES0
乙です。

飾る言葉などは抜きにして......

熱いなっ!!

553◆tyrQWQQxgU 2019/10/19(土) 23:55:32.20ID:rN7N/hbG0
>>552
ありがとうございます!

そんな戦いも終盤です…

554◆tyrQWQQxgU 2019/10/19(土) 23:56:23.45ID:rN7N/hbG0
 私は、私達は、正しかったのだろうか。そう問い続けた日々だった。

 飛び交う戦火の中へ身を投じた若かりし頃の私。サイド3独立の気運もあったに違いないが、心の何処かではそれすら些細に思っていたのではないか。
 実際地球へ降下する事が決まった時、その必要性に疑問を抱かなかった訳ではない。
 早期終戦のタイミングを逸したジオン公国があそこで止まることは出来なかっただけの事だと、誰もが気づいていた筈だ。サイド3での独立すらままならずに地球など治められるはずがない。

 それでも戦ったのは何故か。ひとえに、私自身の存在証明の為だった。しかしそれは大きな矛盾を孕む。
 戦いを終える為の戦いに自らの存在価値を見出しってしまったのだから、始めから破綻した思考だったのだ。その矛盾は、常に私の背後で重くのしかかっていた。
 だが、ある意味で国を失っても尚また舞い戻った戦場で、私は真に守るべきものと出会ったのかもしれない。
 だからこそ、私は目の前の敵を許せないのではないか。まるで自らの所業を煮詰めた様な存在に見えた。戦う為に戦う事が許されてしまうなら、人は過ちを繰り返し続けるだろう。
 連邦が産み、ジオンが育ててしまったその螺旋の芽は、今ティターンズによって花開こうとしている。

555◆tyrQWQQxgU 2019/10/19(土) 23:57:04.75ID:rN7N/hbG0
 朦朧とした意識の中、私は自分が立ち上がっていることに気付く。敵に機体を貫かれたときコックピットの直撃こそ免れたものの、その熱で顔と左半身が焼かれていた。
 余りの痛みに一瞬意識が飛んだが、気が張っているのか今は不思議と気にならない。だが機体を動かしているのは殆ど無意識だった。アドレナリンに任せて破損したヘルメットを投げ捨てる。
 次々に溢れ出てくる言葉は敵に向けたものだったのか、自分に向けたものだったのか。最早私には判断はつかなかった。今はただ斬る。それだけだ。

556◆tyrQWQQxgU 2019/10/19(土) 23:57:46.63ID:rN7N/hbG0
 中尉が投げた発振器にはインコムのワイヤーを幾重かに重ねたものが絡みついている。見てみるとガンダムは瓦礫で身動きが取れなくなっているようだ。
 後少しの抜け出す余力が無いというところか。私は中尉の意図を察した。
『…まぁ構わん。斬り捨てればいいだけの事』
 ジムクゥエルが少しずつ近づいてくる。敵も歩くだけの力しか残っていないと思われた。
『引けッッッ!!大尉!!!』
 合図を受けて、マラサイの持てる力全てを込めてワイヤーを引いた。膝が、肩が、火花を散らしながら砕ける。
 ワイヤーにしがみついていたガンダムが、自機バーニアも最大限に使うことでどうにか瓦礫の中から脱した。ガンダムはそのままバーニアの勢いで敵に向かって突っ込んだ。

557◆tyrQWQQxgU 2019/10/19(土) 23:58:16.29ID:rN7N/hbG0
『…!!貴様ら!!』
 狼狽える敵。しかしそれ以上の隙は与えない。
『くたばれッッッ!!!』
 左脚を踏ん張ると、中尉はアッパーで敵の腹を殴りつけた。その威力は凄まじく、敵のジムクゥエルが浮き上がるほどだった。殴りつけた反動でガンダムの腕は関節からバラバラになっていく。
『ぐおおお…ッッッ』
 敵が唸る。だがそれでも尚バーニアを吹かし体勢を整えた。そのままガンダムに向かってサーベルを投げつける。
 焦りとダメージで狙いがコックピットから逸れたのだろうが、それでもサーベルはガンダムの頭部に直撃した。
 センサーやカメラの中枢を破壊されたガンダムは、そのまま後ろへと仰向けで倒れる様にして沈黙する。

558◆tyrQWQQxgU 2019/10/19(土) 23:58:49.04ID:rN7N/hbG0
『行け!!!』
 動けない機体から中尉の声がこだまする。絡むワイヤーを振り払ったマラサイは、四肢を引き摺りながらも敵目掛けて飛び上がった。
 敵よりも高い高度を取ったところで推進剤が切れ、半ば落下するように振りかぶる。
『さあ殺せ!!!お前達が正しいという証明の為に!!!』
 敵の叫びは、最早私の心には届かなかった。さらば、私の運命の螺旋。戦うことでしか自分の価値を見い出せなかった過去の私がそこに居た。
 ビームサーベルを最大出力で発振すると、機体の全重量を乗せるようにしてそれを振った。
 残った1本のサブアームを自機の腕と重ねるように防御姿勢を取った敵機だったが、それごとまとめて腹部から真っ二つに切り裂く。
 片膝を突いて着地したマラサイの背後で、敵機は爆散した。

559◆tyrQWQQxgU 2019/10/19(土) 23:59:37.81ID:rN7N/hbG0
 敵機の破片や瓦礫が飛び散る中、マラサイは静かに目を閉じる様に、モノアイの灯りを落とした。
『…やったのか』
 力のない中尉の声が遠くで聞こえる。それを最後に機体のシステムも落ちてしまった。辺りは暗闇に包まれた。
「すまない…私は…」
 瞼がどんどん重くなっていく。眠くて堪らない。溶けていく思考の中、見えるはずもない空の切れ間がただただ眩しかった。
 右手でそれを遮る様にしながら、白く拡がっていく光の中へと、私は静かに意識を手放した。

64話 運命の螺旋

560通常の名無しさんの3倍2019/10/20(日) 05:39:23.34ID:WKfdvJdD0
Sさん、ワーウィック大尉、マラサイ.........乙です!!
(あっ、Sさんは引き続きよろしくお願いします)

しかしまぁ、カラバからエゥーゴに用立ててもらった2機、見事に修理不能ですなw
地上より宇宙の方がマラサイ優先配備で紛らわしいので、タイミングとして上々かと。
タイトルがタイトルだし、ワーウィック大尉の次(このまま永遠に寝てなければ、ですが)の機体もモノアイかな〜、と想像してます。
それともまさか、ティターンズ側に主役交代?!

ともかく、続き楽しみにしております

561◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:32:29.11ID:q4IweA7h0
>>560
長らくお読みいただいてありがとうございます!

この時期は機体の変遷が早くて、マラサイやジムクゥエルではもう厳しいですからね…高性能試作機や改修機といえども。自分としてはタイトル回収をした段階でマラサイの役目は終えたかなと。

あと数話でこの物語には一度区切りを着けます。その先はまだ考えていませんが、語る余地は大いにありそうですね。沢山想像を膨らませてもらえればと思います!

562◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:33:28.99ID:q4IweA7h0
 どれだけの時間が経ったのか。私はベッドの上で目を覚ました。白い天井がまず目に入る。身体は起こせないし、どうも左側の視界が覆われている様だ。
 今いるのは病室らしい。看護師らしき女性が私の意識確認を行うと、バタバタと出ていった。戦いはどうなったのか。考えがまとまらないうちに周りが騒がしくなってきた。
 やってきた医師の男と簡単にやり取りしていると、外も何やら騒がしくなってくる。
「サム!!」
 ドアを乱暴に開ける音と共にメアリーの声がした。制止する看護師をすり抜けて、ベッドの前で立ち止まる。横になっている私に飛びつこうとしたところで後ろから首根っこを掴まれていた。付いてきたらしいアトリエ中尉だった。

563◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:33:52.43ID:q4IweA7h0
「…よお。起きたな」
「中尉か…。私は…」
「あんた、1週間は寝てたぞ」
「そんなにか…!」
 思わず私は笑った。
「心配したんだからね…」
 私は、そういって泣きじゃくるメアリーの頭を撫でた。
「大尉…!お目覚めですか」
 ワン中尉も入室してきた。
「迷惑をかけたみたいだな」
 私がそういうと、ワン中尉は涙を浮かべて首を横に振った。
「メイ、メアリーを頼むぜ。俺は大尉と色々話がある」
 アトリエ中尉が少し医師とやり取りすると、彼以外皆退室していった。

564◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:34:12.45ID:q4IweA7h0
「…我々は、勝ったのか?」
 静かになった個室で、私はまた天井を見上げていた。アトリエ中尉はベッドの傍の椅子に腰掛けた。
「ああ、基地は完全に占拠したよ。ここはその医務室だ」
「他の皆は?」
「何だかんだ全員無事!重傷を負ったのはあんただけだな」
「皆優秀なメンバーで良かった。引き際を心得ていなかったのは私だけの様だ」
 私が笑うと中尉も鼻をこすった。
「まぁ…機体が中破で済んだのはサドウスキー大尉だけで、他は皆スクラップにしちまったけどな」
「ガンダムももう駄目か?」
「武装を全て喪失、両腕欠損にフレームもガタガタ…。これでワンオフ機だぜ?作り直した方がまだ安い」
「そうか…」
「象徴としてのガンダムなんて…だろ?」
「ふふ、そんな事も言ったな」
 そこまで話して、少しの静寂が2人しかいない部屋に満ちた。

565◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:34:51.37ID:q4IweA7h0
「敵隊長機のパイロット…」
 私が口を開くと、中尉が難しい顔をして腕を組んだ。
「あいつなぁ…相当な腕だったのは認める」
 私には、あのパイロットが喋った気持ちがわからなくもなかった。あの戦いで最期だとやつ自身が悟っていたのかもしれない。
「…やつの言っていたことは、ある面では間違っちゃいない」
「だとしても、勝ったのは俺達だ」
 少し食い気味に中尉が言った。
「ああ、勝った。だが、逆になっていてもおかしくなかったとも思う。…何となく、似通っていたな、あの男と私達は」
「…言いたいことはわかるぜ。もし仲間だったなら、ああいうやつともうまくやってたかもしれねぇ」
 中尉が大きく溜息をついた。
「試作機に乗っていた強化人間にしても、メアリーと同じ研究所の人間だったんだろう?同じ様にメアリーもああなっていたかもしれない。そう思うと私はやるせないよ」
「敵の隊長さんは戦う理由なんてどうでも良かったなんて言ったが…俺達はこんな具合に悩んでばっかりだぜ」
「良いんだ。一歩進んだら、また好きなだけ悩むさ」

 私はまた少しの眠気に誘われていた。察した中尉が椅子から立ち上がる。
「大尉、今はゆっくり休めよ。また呼びに来るからよ」
「ありがとう中尉」
 去りながら軽く手を振った中尉の後ろ姿をぼんやりと見つめていた。瞼を閉じるとすぐに私は眠りに落ちた。

566◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:35:29.44ID:q4IweA7h0
 それからしばらくはベッドの上で過ごしたが、怪我そのものはそこまで大したものではないと感じていた。左上半身と顔の火傷が主な治療箇所で、そのまま跡が残りそうだった。
 短い時間だが、見舞いに来てくれたバッカス少佐達にも状況の詳細は聞いた。どうも今回の作戦で、この辺りのティターンズ勢力はあらかた一掃出来たらしい。残る大きな拠点はキリマンジャロか。
 攻略へ乗り出すには我々も戦力を整えねばならない。それに、宇宙に上がればグリプスやゼダンの門などまだまだ敵の勢力は力を蓄えている。

567◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:36:05.08ID:q4IweA7h0
 とある朝、身体が鈍ってはいけないと思い、許可をもらって散歩がてら基地の外に出てみた。ここは基地として大規模に手を加えられてはいるものの、まだまだ自然の多い場所だった。
 私は木々を背に断崖から見える海を見つめていた。
「あら、ワーウィック大尉。散歩ですか」
 後ろからやって来たのはシェクター少尉だった。
「許可が下りたからな。こないだはあまり話せなかったが、見舞ってくれてありがとう」
「こちらこそすみません、バタバタで…。今日から僕らも一時休暇です」
 少尉は私と並ぶ様に横に立つと、眩しそうに空を見上げた。
「そういえば、ワーウィック大尉とアトリエ中尉はこれからどうするんです?」
「…今度こそエゥーゴの部隊に編入だろうな。皆とはしばしお別れだが、また会うことにはなると思う」
 私はその場に座り込み、その辺の手頃な小石を海に放り投げながら言った。
「お二人が居ないとなると、正直なところ不安です」
「私達が基地に潜入していた間も奮闘してくれたと聞いているんだがな」
「その結果が新型のスクラップですよ」
 少尉は呆れた様に笑いながら鼻をこすった。

568◆tyrQWQQxgU 2019/10/20(日) 14:36:42.04ID:q4IweA7h0
「メタスは良い機体だったんですが、僕にはまだ使いこなせなかった…」
「大丈夫さ。私など、見ての通りのこのざまだ。マラサイも完全に死んだしな。…少尉には期待している。まだ若いし、私などよりよっぽど伸び代もあるさ」
「ありがとうございます…。でも大尉達、カラバに残るって訳にはいかないんですか?」
「そう言ってもらえるのは嬉しい。だがな、目的を見失ってはいけないぞ少尉」
 そういうと、私はまた立ち上がり少尉の肩を叩いた。そのまま肩に手を置いて見つめ合う。
「これからも色んな事があると思う。だが次に会うとき、更に強くなった少尉の姿を見せてほしい」
「…わかりました。お約束します」
 少尉は少し寂しげに笑ってみせた。また軽く肩を叩くと、私はその場を後にした。

 この戦いで確かに断ち切ったひとつの螺旋。少しだけ違う世界線に来てしまったかのような、不確かだが明瞭でもある心地だ。散歩を続けながら思考を巡らせていた。
 この先、決して理想郷がある訳ではないだろう。自らが思う形を切り開かねば、また別の螺旋が始まるだけだ。しかし戦っているのは自分だけではない。それこそシェクター少尉の様に、若い世代がまた台頭してくる筈だ。彼らの道標となるのも新たな役目のひとつかもしれない。
 随分と時が経ったものだと思いながら、私は後ろに続くあぜ道を振り返った。

65話 理想郷

569通常の名無しさんの3倍2019/10/21(月) 10:25:17.63ID:E+HQ9Dy30
お疲れ様です!

1つの戦線が終わりましたね...
ディアス1機(あと艦長代理のネモと人形サイコくらい?)以外はスクラップになりましたか...w
まぁエゥーゴの赤い奴、設定上かなりタフですもんね

そろそろ宇宙ということで、時系列的にはカミーユが上がって数日後でしょうから
ドゴス・ギアも出てくる頃でしょうかね。
あれだけの規模のある戦艦なら、ジェリド達が出なくてもオリキャラで進めていけそうではあります。
さてワーウィックとアトリエはともかく、ワンとメアリーはどうなることやら...

570◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:45:46.99ID:zf0OT7lA0
>>569
レスありがとうございます!

ようやく一区切りですね…!
最終決戦って大体ボコボコになって終わるイメージなので、惜しまずに強敵とぶつけましたw
ほんとにこれから先彼らがどうなっていくのかは考えていなくて、またプロットが出来たら書こうかと思っています。

とりあえずあと数話分は書いてケリを着けたいと思ってますので、お付き合いください!

571◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:46:29.80ID:zf0OT7lA0
 昼下り、アトリエ中尉は一通りの事後処理を終えて自室で休んでいた。ワーウィック大尉も快方に向かっているというし、そろそろこの艦ともお別れだ。
 あの時、ジムクゥエルを辛くも撃破するも機体の機能を尽く喪失した中尉は、どうにかコックピットを這い出した。
 マラサイはまだオーバーヒートの熱で近づける状態ではなく、救援が来るまでただ独りで呆然と待つしかなかった。
 満身創痍だったとはいえ、ガンダムに乗っていながら機体は大破、その上大尉を負傷させてしまった。もっと強くならなければこの先何も守れないという、自責の念に駆られた。

572◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:47:02.39ID:zf0OT7lA0
『入るわよ』
 言うやいなや、メアリーがズケズケと部屋に入ってくる。その後ろからワン中尉も入室した。
「お前らさぁ…せめて俺が返事してから…」
「あ!またご飯食べてない!」
 アトリエ中尉の声を無視してメアリーが怒る。テーブルには今朝2人が来た時に置いていった食事がそのままになっていた。
「…大尉の事とかで悩むのはわかるけど、しっかりしなきゃ」
 ワン中尉が横に腰掛けた。メアリーは相変わらず仁王立ちしている。

573◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:47:23.70ID:zf0OT7lA0
「折角だから先に伝えておくが…俺はそろそろエゥーゴに戻る。多分大尉もそうだろうな」
「まあ…そうよね」
 ワン中尉はそのままの姿勢で次の言葉を待っている。
「…あたし、ここに残るわ」
 メアリーが静かに言った。アトリエ中尉も置いていくつもりで話をした。とはいえ自分から言い出すとは正直意外だった。
「俺もその方が良いと思ってな。多分俺達は宇宙に上がることになると思う。ティターンズの地上拠点はもう数えるほどしかない」
「大丈夫よ、ベイトの帰る場所はちゃんとあたしが守るわ」
 メアリーは本当に強くなった様だ。
「そんなら安心だな。今ならワン中尉が攫いに来ても返り討ちにしそうな勢いだし」
「やめてよそういうの!黒歴史ってやつよ」
 ワン中尉が顔を赤くしている。
「メアリーはこう言ってるが、流石に心配が全く無いわけじゃない。ワン中尉に世話を頼めるか」
「勿論。しばらくは私もここに厄介になるしね」
「とりあえず、ドアのノックから教えてやってくれ」
「はいはい!…あなたもちゃんとご飯食べなさいよ?」
 そう言ってワン中尉が笑った。

574◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:47:43.36ID:zf0OT7lA0
 2人が退室して、身支度を整えた中尉は格納庫へ顔を出した。全員に休暇が与えられているはずだが、ヴィジョン達整備班は相変わらず作業している。
「よお、おっさん。休まねぇのか?」
「来たなニュータイプ」
「ちげぇよ」
 ヴィジョンは相変わらずの汚れた格好で機械を弄っている。
「お前らが尽くスクラップにしちまったからかなり手は空いてるんだがな、何もするなと言われると何かしたくなるもんなのさ」
「気持ちはわかるぜ」
 サドウスキー大尉のリックディアス以外は予備機しか残っていない。やたら広いせいで余計に寂しくなった格納庫だが、また補給が始まれば忙しない時間が戻るだろう。
「…ちょっと挨拶のつもりで顔を出したんだ」
「戻るのか?エゥーゴに」
 ヴィジョンはゴーグルを外して中尉を仰いだ。中尉は格納庫を眺めながらその場に座り込み、壁にもたれる。

575◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:48:08.46ID:zf0OT7lA0
「ガンダムがあったらもっとうまくやれると思ってた。機体の問題じゃなかったんだ…俺自身を鍛え直さなきゃならねぇ」
「メカニックの俺から言わせりゃ、お前位の腕があるならガンダムに乗る資格は十分あると思うがな」
「どうだか。敵の強化人間にはコテンパンにやられた」
 強化人間やニュータイプとやり合うにはもっと反応速度が必要だ。単純な操縦技術だけでは戦えない敵が現れつつある。
「エゥーゴに行けば何か変わりそうか?」
 ヴィジョンが作業をやめて、腕組みしながらこちらを見る。
「宇宙に行くべきだと思ってるんだ」
 伏し目がちに中尉がいう。
「なるほど、そりゃあいい。ジオン・ズム・ダイクンは宇宙こそが人の感覚を拡張し得るといってたぜ?眉唾ものだと思っていたが…お前が証明したら俺も信じるさ、若造」
 そう言ってヴィジョンは中尉の頭をがしがしと撫でた。

576◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:48:32.52ID:zf0OT7lA0
 しばらくすると、腕にギブスをしたワーウィック大尉が格納庫へとやってきた。
「中尉が呼びに来るより先に来てしまったな」
 思いの外元気な様だ。昏睡していた時にはどうなる事かと心配していたものだ。
「丁度良かった。これからどうするよ」
「そのことだが…。私はエゥーゴに戻りたい」
「やっぱりな!そう言うと思ってたぜ。じゃあ艦長のとこいくか」
 ヴィジョンとまた一言二言交わしてから、大尉も連れてブリッジへと向かった。

 その道中、貨物の区間を通る。
「ここでメアリーを見つけたんだったな」
 感慨深そうに大尉が言う。あれからそんなに時間は経っていない筈だが、随分と前の事の様に感じる。
「あの悪ガキは置いていこうと思う。本人も残りたいってさっき言ってたよ」
「そうか…ようやく皆とも馴染んできたところだし、もっと色んなことを勉強するべき年頃だものな」
 まるで父親の様な口振りで大尉が話すのが少し面白かった。
「そういえばな、メアリーやアトリエ中尉の事もあってニュータイプについて連邦の資料を漁ってみた」
「俺はニュータイプじゃねぇってば」
「まあそう言うな。メアリーが言ってた色の話なんだが、覚えてるか?」
 そういえばそんな事を言っていた気がする。
「あれか、青とか緑とか」
「そう、それだ。ある研究者のレポートに依れば、ニュータイプには宇宙が青く見えるらしいぞ」
「馬鹿馬鹿しい。黒いに決まってんじゃねぇか」

577◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:48:52.29ID:zf0OT7lA0
「ニュータイプの兆候が見られたアトリエ中尉とシェクター少尉はメアリーに青だって言われてたろ?あながち間違いじゃないんじゃないかと思ってな」
「ただの頭痛持ち2人だってば!…てか、大尉は何色だったんだ?」
 メアリーは彼にも特殊なものを感じ取ったと言っていた気がする。しかしニュータイプの勘というようなものは持ち合わせていない様に思う。
「私か?私は緑色だそうだ。ジオンカラーだよ」
「そりゃある意味ニュータイプ論に近しいかもな」
「そうなら良いんだがな。緑色に関しては何の資料も無かったよ」
 大尉が笑った。戦いを終えてからというもの、彼が帯びていた影のようなものが鳴りを潜めた様に感じられた。

578◆tyrQWQQxgU 2019/10/21(月) 17:49:30.75ID:zf0OT7lA0
「…緑は1番暖かい色よ!」
 廊下の先にメアリーがいた。
「緑が暖かいのか。意外な色だな」
 駆け寄るメアリーと手を繋ぎながら大尉が言う。
「青はニュータイプなのかよ?悪ガキ」
 中尉がそう言うやいなや、メアリーに蹴られた。
「あたし結構良い子よ!…青い人は確かにそんな感じだけど、他にも紫とか」
「良い子の割に蹴るじゃねぇか…」
 痛がる中尉を見るメアリーは相変わらず愉快そうだ。
「紫ってのはこないだの強化人間とかか?」
 最早蹴られた中尉にさして心配すらしてくれなくなった大尉が話を続ける。
「そうね、敵意剥き出し!って感じが紫。あの時はもうドス黒いくらいだったけど。ベイトも戦ってると偶にそんな感じになるけどね」
「なるほどねぇ…。色占いも良いが、そろそろブリッジだぜ」
 話しているうちにブリッジへと到着した。確かバッカス少佐とサドウスキー大尉はここに居たはずだ。
 艦を離れればこの3人で話しながら歩くのもしばらくお預けかと思うと、僅かに寂しさのようなものが中尉の胸を巡った。


66話 眉唾もの

579通常の名無しさんの3倍2019/10/21(月) 21:39:25.58ID:d0lE9fE50
ネカマに発狂

580通常の名無しさんの3倍2019/10/21(月) 23:38:21.38ID:5QmT2z7i0
乙です

ついに色の話が出ましたね!
緑が一番暖かい、ですか。
きっと春先の芽吹きのような緑なんでしょうね。
ニュータイプが青になるのは、後の「MSの操縦が上手い奴」を暗示してるみたいで、なにか暗いですね
(真っ先にナイトレイダーの制服を思い出しました)。
紫......高貴な色とも言われますが、それだけに歪な救いの無さを伴うように思います。
ちなみに病室に紫系のものを増やすのは精神的に悪いのでやめた方がいいらしいですw

メアリーとは一先ずお別れということになるようですが、またいつか会いたいですね

581通常の名無しさんの3倍2019/10/21(月) 23:41:35.01ID:5QmT2z7i0
失礼
×メアリー
○メアリーたち
ですね

べ、別にロリコンの気とかないんだからね!

582◆tyrQWQQxgU 2019/10/22(火) 15:59:28.29ID:vhYV2Y4s0
>>580
春先の芽吹きの緑…良いですね。
サイコフレームの共振に見た緑から着想しましたが、そう言われると凄く腑に落ちました。ストンと。

富野監督の描くニュータイプは大体紫のオーラ発してるんですけど、大体みんな殺気立ってるんで…w
病室の件は初めて聞きましたw

当然といえば当然ですが、重要人物なので絡みはまたほしいですね。

583◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 00:33:31.10ID:BshroPjG0
 バッカス少佐は司令部との会議を終えて、今度はブリッジでサドウスキー大尉と話し込んでいた。
 激戦の中、朱雀は目立った損傷もなく帰還していた。改修した本艦の戦闘力も勿論だが、MS隊の活躍で敵を寄せつけなかったのは大きい。おかげでバッカス少佐は指揮に専念できた。
「隊長としては満足いかん部分もあったろうが…この作戦は十分成功といって良かろう」
「まあまあですかね…。それと、あなたが隊長ですよ。俺はあくまでも代理ですから」
 サドウスキー大尉は癖の強い部下達をよく纏めてくれた。独断行動も一部あったが、結果として作戦には大いに貢献してくれた。
「これまでの活躍を受けて、一部のメンバーは昇格の通知が来ている」
「おお!給料もあがるといいんですがね…」
 苦笑いしながらサドウスキー大尉が頭を掻く。

584◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 00:33:49.60ID:BshroPjG0
 ブリッジの扉が開いた。ワーウィック大尉とアトリエ中尉、それにメアリーだった。
「艦長代理。おかげさまでかなり回復しました」
 ワーウィック大尉は言葉の通り調子が良さそうだ。これなら戦線復帰も近いだろう。
「大体の要件は察している。そろそろ戻るんだね?」
「はい。大変お世話になりました」
 ワーウィック大尉が頭を下げるとアトリエ中尉も不躾に頭を下げた。メアリーも真似してお辞儀する。
「メアリーはどうするの?」
「あたしは残るわ。メイが一緒にいてくれるって」
「そう。とても心強いわ。これからも頼むわね」
 バッカス少佐はメアリーにウィンクして見せた。

585◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 00:34:15.23ID:BshroPjG0
「しかし…お前達が離脱すると戦力的にはかなりの痛手だ。だからこそお前達が行くべき戦線は此処ではないのだろうがな」
 立ち話に疲れた少佐はブリッジのいつもの椅子に腰掛けた。
「エゥーゴには私から話をつけておく。配属先がわかり次第すぐに伝達しよう。それから、アトリエ中尉」
「なんです?」
 相変わらずぶっきらぼうな男だ。しかし当初の殴った頃に比べると幾らか落ち着きのある風貌になったかもしれない。
「昇格だ。明日からは大尉だな」
「フゥー!マジかよ」
 ガッツポーズするアトリエ中尉。メアリーとハイタッチしている。
「私としてはワーウィック大尉も昇格させてやりたいところだったんだが…その…」
「いえ、そのお気遣いだけで十分です。ジオン上がりの私にこれ以上の昇格はかなり無理があるでしょうから。他の者の目もあります」
「そうはっきりと言うな。そこまでわかっているなら、お前の言う私の気遣いとやらを察せ」
「確かにそうですな」
 そう言ってワーウィック大尉は笑った。意外とこの期間で1番変わったのはこの男かもしれない。以前より笑うようになった。

586◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 00:34:36.71ID:BshroPjG0
「ワーウィック大尉と並んだかぁ…。お!てことはサドウスキー大尉も仲間じゃない?」
「ところがどっこい。俺も昇格したんだな」
 絡むアトリエ中尉に、腕を組んだサドウスキー大尉が得意げに返した。
「なんだよ、俺だけじゃないのか…」
 あからさまに落ち込むアトリエ中尉。
「何なら私も明日から中佐だ。そもそも、機密の塊みたいな機体を大破させて尚昇格のお前が特殊なのだ」
「まあ、まだまだ俺はこれからですからね」
 自嘲気味だが不敵な笑みを浮かべるアトリエ中尉。この男は本当にまだ伸びるのだろう。
「私達にしてやれることはそんなにないかもしれんが、いつでも頼るといい。遠く離れてもここはお前達の家だよ」
「ありがとうございます」
 2人は敬礼して見せた。少佐とサドウスキー大尉も応える。彼らは踵を返すと、メアリーと共にブリッジを後にした。

587◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 00:35:10.99ID:BshroPjG0
「…寂しくなりますな」
 軽い溜息をつきながらサドウスキー大尉が言った。艦長代理になったバッカス少佐以上に、MS隊を率いて共に過ごしてきた感傷は大きいだろう。
「彼らは彼らの選択をした訳だ。私達も負けてはいられまい?きっとまた会うときには何周りも大きくなって帰ってくるぞ」
「おちおちサボってもいられませんな!シェクター少尉も鍛えあげてやりますよ」
「私もそろそろMSが恋しいよ」
「やはり少佐も前線が似合います」
「鈍る前に乗らねばな」
 それから他愛のない会話を少しして、サドウスキー大尉も退出していった。静かになったブリッジから、ふと景色を眺めた。雲一つない晴天。これからの皆の行く末も晴れ渡っていることを祈るばかりだった。

67話 雲一つない晴天

588通常の名無しさんの3倍2019/10/26(土) 09:28:35.34ID:Yk4MhyyZ0
お疲れ様です!
第1部・完って感じですね!

あー、Zのシャアが大尉止まりだったのってそういう......
考えてみれば、実質的指導者が大尉なんだからエゥーゴの階級ってどうかしてますねw
出世というより元の階級から落ちなかった人だけが佐官に当たるのかも...

ともあれ、乙でした。
読み返しつつ、続きをのんびり待ってます

589◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 13:41:52.36ID:pM27ubaK0
>>588
おっと!紛らわしくてすみません!次でラストです!投下します!

やっぱクワトロが大尉なのも変だなぁと思ってたので、そういう理由があるんじゃないかと思いまして。
アムロは士官学校出てないからとか色々言われてますけど、今回は別で理由付けしてみました。

590◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 13:42:17.55ID:pM27ubaK0
 アトリエ中尉達…いや、アトリエ大尉達の昇格の後、数日の内に私達の転属先が決まった。それぞれ別の部隊ではあるが、お互い宇宙へ上がることになった。私は元々宇宙生まれだが、アトリエ大尉はこれが初めての宇宙である。
 荷物をまとめて部屋を出た時、丁度アトリエ大尉と鉢合わせた。
「身支度は済んだか?」
「おう。そっちも済んだみたいだな…行くかい?」
 私が軽く頷くと、彼と共に歩き出した。向かう先は格納庫だ。取り敢えずはマスドライバーのある地点まで予備機のジム2とSFSで行く。
 宇宙まで行ったらそれぞれの配属先へ別れて進む。新たな機体は配属先で既に待っているらしい。
 歩き慣れた艦内を進みながら、様々な思いがよぎっては消えていく。格納庫までの道程が酷く長いような、或いはあっという間だったのか…。
 普段はよく喋るアトリエ大尉も、今回ばかりはあまり口を利かなかった。同じ思いだったのかもしれない。

591◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 13:42:38.48ID:pM27ubaK0
 格納庫へ着くと、いつものメンバーが出迎える。バッカス中佐にサドウスキー少佐、シェクター少尉とワン中尉。そしてメアリーが待っていた。
「遅かったじゃないか。どっちが愚図ってたんだ?」
 サドウスキー少佐が豪快に笑う。その襟元には新しい階級章が輝いている。
「2人とも愚図ってた様なものですな」
 私がそう言うと、サドウスキー少佐が我々2人の肩をそれぞれ両手でガッシリと掴み、自身の頭を挟むようにして引き寄せた。
「お前ら…元気でやるんだぜ…!!」
 サドウスキー少佐が大きな音を立てて鼻を鳴らした。大粒の涙が彼の目から溢れ出る。
「お…おいおい!泣くなよ!!」
 アトリエ大尉がおどけてみせるが、サドウスキー少佐は声を上げて泣き始めた。
「今泣かずしていつ泣くって言うんだ!!俺はなあ…寂しいんだよおお!!」
「うわ!鼻水!」
 アトリエ大尉がサドウスキー少佐に鼻をかませる。まるで親子の様だった。
「またお会いできますよ。宇宙での戦いが一段落ついたら、絶対戻ってきます」
「当たり前だあ!!うおお…!!」
 私が声を掛けても余計に涙が止まらない。

592◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 13:42:59.68ID:pM27ubaK0
「全く…大の男がねえ」
 バッカス中佐が呆れながら笑っている。
「大尉達はすぐに出られるので?」
 シェクター少尉がサドウスキー少佐の背中を擦りながら聞いた。
「ああ。私の怪我のせいで幾らか予定が押したからな」
 火傷はもう随分と良くなった。しかしながら、顔にははっきりとその跡が残っている。
「あ!そうそう!サムにプレゼントよ」
 それを聞いて、メアリーが思い出した様に包装された箱を取り出す。
「…これは?」
「そのお顔、怖がられたらいけないからお洒落できる様にってメイと相談して買ってきたの」
 開けた箱の中にはバイザーが入っていた。デザインは多少厳ついが、気を遣ってくれたことが素直に嬉しかった。
「ありがとう。大事にするよ」
 そういって私はその場でバイザーを掛けた。
「うん!似合ってる!」
 メアリーが親指を立ててみせる。
「それ、結構したんでほんと大事にしてくださいね」
 ワン中尉が笑ってウィンクした。彼女がこめかみをトントンとしてみせたので、真似てバイザーの側部を叩いてみる。すると様々な情報がバイザーに表示された。デバイスとしても機能する様だ。
「凄いな。これは重宝しそうだ」

593◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 13:43:17.19ID:pM27ubaK0
「俺は??ねえ俺のは??」
 しばらくやり取りを見ていたアトリエ大尉がしびれを切らした様に切り出した。
「ベイトには…これ」
 メアリーが小さな石を取り出した。青翠の綺麗な光を放っている。
「これね、お母さんがあたしにくれたやつなの」
「そんな大事なもの…良いのか?」
「大事なものだからあげるの。もしそんなに気になるなら、また今度あった時に返してくれたら良いわ。何かあったらこれであたしの事思い出すのよ」
「相変わらず生意気言いやがってよ…。ありがとう」
 そういってアトリエ大尉はメアリーを抱き締めた。

594◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 13:43:38.32ID:pM27ubaK0
「おおーい!お前ら!!そろそろ行かねえと時間なくなっちまうぜ!!」
 遠くからヴィジョンの声がした。私達2人は改めて荷物を抱える。
「さて、行くか。アトリエ大尉」
「そうだな…」
 出撃準備の整った機体へと歩き出した。皆が背中を見送っている。
「ワーウィック大尉!アトリエ大尉!」
 後ろからシェクター少尉の声がして振り返る。我々を見る彼の眼差しには、強い意志を感じた。
「御達者で…!」
「また会おう」
「おうよ。…ワン中尉のこと、大事にしてやるんだな」
「え…!あ!はい!」
 慌てるシェクター少尉をみて意地悪そうに笑うアトリエ大尉。そんな2人に私も少し笑みをこぼすと、そそくさと機体に乗り込んだ。

595◆tyrQWQQxgU 2019/10/26(土) 13:44:51.52ID:pM27ubaK0
 出発の時が、遂に来た。皆まだ先程の場所で見送ってくれている様だ。
「さーて…思い残すことはねぇな?」
「いいや、沢山残してきた。次会う時に回収すればいいのさ」
「ふふ、一理あるな」
 アトリエ大尉がいつもと変わらぬ調子で笑った。機体が完全に稼働状態に移行し、SFSのバーニアへと火が入る。
「…暖かいのだな、この星は」
 我々は朱雀を出立した。

 機体は空高く舞った。晴れ渡る空へと、朱雀を背に進む。この空の更に高いところ…宇宙には一体何が待ち受けているのだろうか。
 不安が無いといえば嘘になるだろう。だが私は、積年のしがらみから解き放たれる様な心地だった。
 真にこの重力を克服した時、私はもう一度この大地を踏みしめる事の意味を知る。その日まで、母なる地球へしばし別れを告げるのだ。

 心配は無用だ。私達は確かにこの世界に存在している。証明など、するまでも無いのだ。

68話(最終話) 更に高いところ

596◆tyrQWQQxgU 2019/10/27(日) 17:04:32.01ID:HDjUbp870
さて、これにて完結です。
pixivも更新してます!
あとがきも添えてますので、よろしければお読みください。

応援して頂いてどうにか書ききることができました!本当にありがとうございました!
まだスレッドも書き込めるので、良ければ雑談にでも使ってください。作品の話もしていただけると励みになります!

597通常の名無しさんの3倍2019/10/27(日) 17:40:48.38ID:7XYY9HhA0
おしまいなのか(´・ω・`)
お疲れさまでした
じっくり読み返していきたいと思います
メアリーが形見渡す所でうるっときた

598通常の名無しさんの3倍2019/10/27(日) 20:06:31.59ID:rKply1c80
ふとプロローグを読み直しましたが...今度こそ本当のエピローグですねw
お疲れ様でした

なるほど、ベトナムからニューギニアまでの短い期間とは言えど
悶々とアプレゲールな生活を送っていたワーウィックが遂に自分の居場所を見いだす。
それも愛憎入り雑じった地球に対してではなく、やはり鉄の器であるガルダの、同じ中の人々から見いだしているのがまたいいですね!
戦場自体が無くなっても、終戦してミノ粉が薄まればまた交流の機会があるでしょうし、いいなぁ......いいな〜(軽くshit)

いやはや、読みやすく、面白く、心暖まる作品を本当にありがとうございました。
もし また機会があれば、是非ともお会いしたいです!

599◆tyrQWQQxgU 2019/10/27(日) 23:48:05.31ID:HDjUbp870
>>597
最後までお付き合い頂いてありがとうございました!
続編も書けたらなぁと思いますが、正直まだ何の準備も出来ていないので…笑
とはいえ、次を書くとしたらっていう伏線は沢山用意しておきました!いずれ書く時がきたら…?

600◆tyrQWQQxgU 2019/10/27(日) 23:55:33.82ID:HDjUbp870
>>598
え?何のことです?(すっとぼけ
ほんとのエピローグ()まで辿り着けて本当に良かったです…笑

地球がどうとかっていうスケールの話より、彼にとっては隣にいる仲間にこそ自分の存在価値を見出してほしかったというのがあります。
アムロやシャアは大きなスケールの中では偉業を成し遂げたり歴史に名を刻む人物ではありましたが、個人としての幸せを享受できたかというと微妙なところじゃないでしょうか。
この物語では、もっとミニマムな幸せを見つめ直しても良いんじゃないかと思った次第です。

601通常の名無しさんの3倍2019/10/28(月) 16:32:29.94ID:43ktE8o30
シャアなんて裏切りの経歴まみれで挙げ句の果てにフィフスルナやアクシズ落としで大虐殺を画策しているのに幸せになるだけの資格なんて無い
シャア自身も個人の幸せなんて得られると思ってなさげ

602◆tyrQWQQxgU 2019/10/29(火) 05:50:03.84ID:foFjUzco0
>>601
その果てにあったのが母性っていうのがまた何とも…。
血統や使命感に対する当の本人の願望が噛み合わなくて色々こじらせちゃった人って感じですよね。
女遊びしてるだけとかならまだチャラいで済むんですが…w

ガンダムってそういう願望のスケールに対してぶっ飛んだ行動に出るキャラクター多い気がしますw

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